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【完全版】KPT振り返りの方法を解説 | 注意点や実施パターン一覧とメリット・デメリットを紹介

【完全版】KPT振り返りアイキャッチ

みなさんPJの振り返りは実施されていますか?

振り返りとはプロジェクトやタスクなど完了後に対応していたチームメンバーが集まり、その過程や結果について評価・分析を行うことで、改善点や教訓を見つけ出すために実施される活動です。

またKPTとは振り返り手法の一つで、アジャイル開発やリーンマネジメントの原則に基づく考え方であり、Googleやトヨタ、NetflixやSpotifyなどさまざまな企業で使われている手法です。

振り返りは今後の改善に向けて非常に有効な手段の1つですが、一方で以下のような悩みがあり、上手く振り返りが機能しないという声もよく聞こえてきます。

  • 特定の人の意見にかたよった結果になってしまう
  • ネガティブな意見ばかりが出てしまう
  • 責任のなすりつけ合いが始まってしまった
  • 振り返りで決まった改善アクションが実施されない
  • 多くの課題が出てきて振り返りが終わらない

実施したことあるけど、上記のような問題が多くやめてしまった・・という方も多いのではないでしょうか。

ここではKPTという手法を使った振り返りの紹介から、実施することによるメリットの解説に加えて、一番重要である実施する際に気をつけるべき点を解説します。

またPJの単位やチーム体制、環境によってKPTの最適な実施方法も変わってきます。実施方法の種類も解説しつつ、メリット・デメリットをあわせて記載しますので、自身の状況にあった実施手法を見つける際にも役立ちます。

上記のような振り返りを実施する上での課題に対する対応策についても合わせて解説します。

ぜひこのページを参考に振り返りのやり方を見直してみてください。はじめて振り返りを行おうとしている方にも分かりやすく解説しています。

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そもそも振り返りって何のためにやるの?

振り返りをなぜやるのか

振り返りははじめに記載した通り、「過程や結果について評価・分析を行うことで、改善点や教訓を見つけ出す」ことが目的です。さらに振り返りは改善活動の実行までが含まれます

以下のようなさまざまな実施した際のメリットがあります。

  1. 学習と成長:過去の成功や失敗から、チーム全体のスキルや知識向上に繋げる
  2. プロセスの改善:プロジェクトやタスクの遂行中に発生した問題や課題を特定し、今後のプロジェクトやタスクで改善するためのアクションを立てる。
  3. コミュニケーション改善:チームメンバーがお互いの意見や感想を共有することで、チーム内のコミュニケーションや信頼関係強化に繋げる
  4. 評価への活用:プロジェクトやタスクの成果を客観的に評価し、目標評価や今後の目標設定に活用する

特に新入社員のはじめてのPJやタスク完了時には非常に有効です。

他のチームメンバーから指摘事項や良かった点をコメントしてもらうことで、次のPJやタスク実行に活かすことができます。

また振り返り参加者の他メンバーから、知識や経験を共有する場にもなります。双方で新たな視点やアイデアを得ることができ、自己成長につながります。

振り返りはどういったPJで行えばいいの?

振り返りはどういったPJで行うべきか

基本的には上手くいったもの、上手くいかなかったもの、それぞれ結果にかかわらず振り返りは実施すべきです。

またシステム開発PJに限らず、ビジネス側でのPJやコーポレート系のPJなど、種類や単位に関係なく有効な手法です。以下に実施事例について、いくつか紹介します。

事例1:ソフトウェア開発プロジェクトで、コード品質の問題から、バグが多発した

振り返りで問題が議論され、チームはコードレビューのプロセス改善について検討、レビューの単位見直し、実施機会を増やすことにした

結果的に今まで見つけきれなかったバグの発見をテスト前の工程で検出することが多くなり、さらに大きな手戻りを防ぐことにもつながった

事例2:セールスチームの売上目標が大幅達成となった

振り返りで成功要因、営業戦略や顧客とのコミュニケーションの方法について議論

成功要因をはじめとして、進め方として良かった点や改善点を振り返り、Good/Badポイントを営業部署全体で共有する機会を定期的実施するようにした

結果として、個人に依存していた営業スキルの横展開に繋がり、失敗事例を踏む回数も減少した

事例3:マーケティングチームが新しい広告キャンペーンを実施したが、目標未達となった

振り返りにて、キャンペーンのターゲティングや広告クリエイティブに問題があったことが明らかになった

また広告クリエイティブの問題は以前のPJでも同様に問題として上がっていたが、課題を共有されずに進んでしまった

悪かった点の洗い出しと改善アクションリストを作成し、次回類似のキャンペーンを行う際に適用できるようにした

また失敗事例を貯める仕組みを構築することで、あとから入社した社員でも利用できる情報とした

結果として、類似キャンペーンの際の効果を上げることに繋がった

事例4: 顧客サポートチームが顧客からのクレーム対応に時間がかかり問題となった

振り返りで、問題解決のスキルや顧客とのコミュニケーション方法が統一されていないことを課題定期

対応方法の統一と効率的な対応方法を習得するための研修を実施した

実施した結果、顧客満足度が向上し、クレーム対応の効率も改善された

事例5:企画チームが新しいプロジェクト提案を実施した際の、社内決裁を通過する確率が低い

振り返りでは、提案書の構成や内容に具体性がなく根拠が低いことが問題としてあることが判明

説得力のある提案書の作成方法について勉強会を実施し、提案書のフォーマット見直しを行った。またレビュー機会を増やす取り組みを実施した

結果として、提案数は減ったものの通過率を向上させることができ、チームメンバの成長にも繋がった

事例6:人事チームが社員のスキルアッププログラムを導入したが、期待された効果が得られなかった

振り返りでは、プログラムの内容や進め方に改善の余地があることが判明。また社員からの要望ヒアリングが実施されておらず、効果向上アクションが不十分だった

チームは参加者からのフィードバックを取り入れ、プログラムの内容や進め方を見直しを行った

次回のスキルアッププログラムでは効果的な結果を得ることができた。

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KPTとは?振り返りを行う上で使われるフレームワークの1つ

KPTの進め方

今回紹介するKPT(Keep, Problem, Try)は、振り返りの一つの手法で、過去の活動やプロジェクトから学び、改善策を見つけることを目的としています。

主にPJの振り返りとしてよく使われる手法で、分かりやすく事前知識が少ない状態でも、フォーマットにあてはめるだけで取り組みやすいことが特徴です。

次から紹介する手順を踏むことで効果的に振り返りを実施することが可能になります。

※オンライン・オフラインによって事前準備や当日のやり方が変わってきますが、ここからは実際に対面で振り返りを行う形で記載します。

1. 事前準備

まずはKPTを実施することを伝えます。その際に簡単なKPTの目的や狙いを説明することが重要です。

以下のような案内を送ることで、KPTの意義や事前準備の必要性を理解してもらうようにします。

案内メール例文

この度、XXXPJに関するKPT振り返りミーティングを開催することになりました。

ミーティングの詳細:
日時:XXX
場所:XXX

KPT振り返りミーティングの目的:
KPT(Keep, Problem, Try)振り返りは、過去の活動やプロジェクトから学び、改善策を見つけることを目的としています。
このミーティングでは、プロジェクトの良かった点(Keep)、問題点(Problem)、改善策や試すべきこと(Try)について議論し、
チーム全体のパフォーマンスを向上させることを目指します。

ミーティングの進め方:
・Keep(継続すべきこと)の議論
・Problem(問題点)の議論
・Try(試すべきこと)の議論
・アクションプランの策定
・振り返りのまとめと共有

事前準備:
ミーティングに参加する前に、XXXPJに関連するKeep, Problem, Tryのアイデアをいくつか考えておいてください。
ご質問やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

上記では「事前に考えてきてもらう」形を取っていますが、アンケートフォームや共有ファイルを指定して事前に記載してもらう形も有効です。

書き込み用のホワイトボードや付箋紙、ペンなどを用意します。

また当日のファシリテーターを決めておきます。

2. Keep(継続すべきこと)の議論

参加者に、継続すべき良かった点や成功した取り組みを考えてもらいます。

参加者はそれぞれの意見を付箋紙に書き、ホワイトボードに貼ります。ファシリテーターが意見を読み上げ、それについてのコメントや意見があれば共有します。

付箋紙に書いた人物だけではなく、幅広くコメントを集めることが重要です。

3. Problem(問題点)の議論

Keepと同様に、問題点や改善すべき部分という観点で考えてもらいます。

進め方はKeepと同様です。

4. Try(次回以降で試すべきこと)の議論

Keepに対して続けるためのアイデアや対応策を考えてもらいます。

Problemについては問題点に対処するために試すべきアイデアや改善策を考えてもらいます。

こちらもホワイトボードに付箋紙で貼り付けて可視化、KeepやProblemに対するTryがわかるようにしましょう。

また「気をつける」などの意識だけで終わるものは極力避け、PJ時のルール整備など仕組み化されるTryを策定することが重要です。

5. Tryからアクションプランの策定

取り組むべき改善策(Try)を優先順位付けし、具体的なアクションプランを策定します。

アクションプランに担当者と期限を設定し、責任を明確にすることが重要です。ここが抜けると「やった感」だけになってしまうため注意です。

6. 振り返りのまとめと共有

KPTの結果をまとめ、参加者全員に共有します。

次回の振り返りやプロジェクトで過去のKPTの内容を参照し、継続的な改善を促すことができるため、記録に残すのも非常に重要です。

ホワイトボードの内容を写真で取るなどして、あとから見返せるようにしておきましょう。

7. アクションプランの実行と評価

アクションプランの各担当者が期日までに改善対応を進めていきます。

ファシリテーターやプロジェクトリーダー・マネージャーが、アクションプランの達成に向けたフォローを行いつつ定期的に進捗を確認します。

アクションプランが完了したら、その成果や効果を評価し、改善が達成されているか確認します。

Tryが機能しなかった、アクションが実現できなかった等、改善まで繋がらない問題も多々出てきます。

アクション実施後の評価完了までしっかり実施する体制を整備しておくことが、振り返りを有効に機能させるためには重要なポイントになります。

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KPTの実施パターン紹介

KPTの実施パターン

対面でホワイトボードに付箋紙を貼り付けつつ実施する手法が基本になりますが、他にもいくつか異なるやり方がありますので、合わせて紹介します。

オンライン投票系のサービスを活用する

Googleフォームが利用されるケースが多いですが、他にもMentimeterやSurveyMonkeyなど、KPTに有効なサービスがいくつか存在します。

実際に集まって実施していたKPTの時間を個々の時間で対応することができるため、最大のメリットとしては時間節約につながる点です。

また匿名性を持たせることができるのも大きなメリットです。

組織によっては心理的安全性が低く、問題点を出しづらいチームやPJも存在します。そういった際に匿名性のある状態で収集することは有効です。

一方、デメリットとしてはミーティングでの直接的なやり取りがないため、議論の質が低下する点が挙げられます。

さらに小集団で分けてディスカッションする機会を増やす

参加メンバが多く、発言しづらい・全員の意見を確認するのが難しい際に有効な手法です。

通常のKPTのフローの中で、Keep/Problem/Try検討時は小集団グループに分割し、それぞれで議論を進めてもらう方法になります。
※オンラインだとZoomのブレイクアウトルームを使うような手段も便利です。

小集団グループのディスカッションは、全員の意見を確認でき活性化する点が最大のメリットです。さらに小集団グループ内のコミュニケーションが向上するメリットもあります。

一方で各小集団グループで上がってきた意見を集約してマージする、食い違った場合に解決するなどのプロセスが必要になるため、通常よりも振り返り完了までに時間がかかる点がデメリットです。

重要なPJかつ参加メンバが多い際には有効な手法でしょう。

上司やマネージャーが意見を集約して取りまとめる

場面によっては中間で意見を集約する人(マネージャー等)が入り、代表者同士で振り返りを実施する方法もあります。

メリットは事前にマネージャー側で意見を統合したり、食い違っている意見が整理された上であがってくることから結果に一貫性が出る点になります。

一方で全員の個別意見が見えづらくなることや、メンバ間で議論する場がないため、振り返りを通したコミュニケーション向上には繋がりづらい点はデメリットになります。

こちらも参加メンバが多い際には有効な手法として使われますが、途中の決定プロセス含めた議事録が全メンバーに展開されることが、納得感を得る上で重要です。

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KPT振り返りでの課題、KPT法のデメリット

KPTによる振り返りを行う上で、本記事の冒頭でも記載した通り、さまざまな課題が出てきます。

ここからは各課題に対する対応策について記載しますので、課題に直面した際にはぜひ参考にしてみてください。

特定の人の意見にかたよった結果になってしまう

KPT_特定の人の意見にかたよった結果になってしまう

振り返りあるあるですが、一部の人が発言を独占し、他の人の意見が十分に聞かれない状態で終わってしまうことが多々あります。

本来話されるべき本質課題の特定や、全体像を把握することが難しくなり、有効な振り返りにならずに終わってしまいます。

他にも振り返りの参加者がある特定の組織等に偏っている場合、その部分の意見が強調され、他の重要な意見が見逃される可能性があります。

この状況では、バランスのとれた意見収集が難しくなり、効果的な改善策が見つけられないことがあります。

他にも本質課題を持っている人から意見が積極的に出てこずに考慮されないまま終わる問題(= サイレントマイノリティ )や、一部の意見に同調が一気に進んでしまい、それ以外の議論がされないまま終わってしまう問題(=グループシンク)もあります。

これらの改善としてはファシリテーターがこういった可能性を充分に理解し、振り返り会に望むことです。

またファシリテーターに権限を持たせること、ファシリテート力が高い人物をアサインすることなどが重要です。難しい場合は全員から1つずつ強制的に意見を聞く形(=ラウンドロビン方式)で進めるのも効果的です。

他にも特定の人物に偏ってしまっているケースであれば、課題を共有して直接本人に控えてもらうことも有効でしょう。

手前で紹介している「小集団グループでのディスカッション」「無記名でのオンラインフォーム」のような手法もよく取られる対応策です。

ネガティブな意見ばかりが出てしまう

KPT_ネガティブな意見ばかりが出てしまう

もう1つ多くある振り返りの問題点は、ネガティブ意見ばかりが出てきて、終始ネガティブ課題に対する話になってしまうケースです。

問題点や失敗が強調されすぎて、実際には多くあった成功した部分やチームの良い点が見過ごされてしまうことが多くあります。

KPTにおいてKeep(良かったこと)は非常に重要であり、Problemに特化してしまうことで、振り返りの目的である成長の機会を逃すことになってしまいます

またネガティブ発言ばかりだと、参加者のモチベーションが低下し、ポジティブな側面や実績が出てこなくなる悪循環になってしまいます。

対策としては、やはりファシリテーターが重要です。

まず成功した点や良かった点についても共有するように促すことで、ポジティブな意見を引き出すように心がけましょう

またKPTのような構造化された手法は、ポジティブな意見(Keep)とネガティブな意見(Problem)のバランスを取るためにも重要な役割を持っています。この点においてもKPT手法はおすすめできます。

あとは数少ないポジティブコメントを拾って広げることも必要になります。

他にもネガティブな意見が出た場合には、それに対する解決策や改善点を参加者に求めることで、ポジティブに転換するコメントを引き出すことも可能です。

また根本的な原因として、参加者に振り返りの目的が正しく理解されていないことも考えられます

今後改善するための手段として実施していることを認識してもらい、ポジティブ意見も出るように促していきましょう。

責任のなすりつけ合いが始まってしまう

KPT_責任のなすりつけ合いが始まってしまう

Problemが出やすい問題と合わせて、個人の責任を追求し合うような雰囲気になりがちな点も課題です。

エスカレートしていくとチーム内の信頼関係が損なわれ、本来の目的は達成されずマイナス面だけが残ってしまう結果になります。

ファシリテーターは、議論が責任の追求にならないように注意し、問題解決や改善策の提案に焦点を当てることが重要です。

他にも個人の責任ではなく、チーム全体の問題として問題点や失敗を捉えることが大切です。これにより、責任のなすりつけ合いを避け、チーム全体での改善を促すことができます。

またルールで改善する方法もあり、個人名を出さずに役割やチーム名で表現することで、責任のなすりつけ合いを防ぐことができます。

このケースに陥る理由の1つとして、感情的な責任追求が先行してしまう点があります。具体的な事例やデータをもとに議論を進めることで、冷静な問題解決や改善策の提案を行うようにしましょう。

「なぜ起きたか」ではなく「どうすれば発生を防げるか」のソリューション志向の議論を促すことで、責任のなすりつけ合いを防ぎ、効果的な振り返りが進められます。

振り返りで決まった改善アクションが実施されない

KPT_振り返りで決まった改善アクションが実施されない

振り返りで議論された改善策が、具体的なアクションプランに落とし込まれず、結果的に実施されないことも多いです。

改善策が提案されたものの、誰がそれを担当し、いつまでに実行するのかを明確にしないと、提案された改善策が実行されないまま終わってしまうことがあります。

その結果、振り返りの成果が十分に活かされず、同じ問題が繰り返されることがあり、振り返りが機能しない→改善提案がされなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

他の理由として、アクションプランが曖昧なまま終わることに起因しているケースもあり、結果何を実行したか分からない、実行したが完了したかどうか分からない状況になることもあります。

また優先順位の策定も改善アクションの実効性を保つ意味では重要です。対応するためのリソースには限りがあるため、すべてが中途半端になるよりも重要な改善アクションだけは完了まで持っていけるようにしましょう。

他の対策として、担当者だけに丸投げするのではなく、PMやマネージャーが完了までフォローすることは必須です。

大前提として、担当者自身が振り返りの重要性を認識していないと、実行されないまま終わってしまいます。あらゆる場面において、振り返りの目的・重要性を前段で伝えるのは重要になります。

議論が活性化しない

KPT_議論が活性化しない

KeepやProblem、Tryは基本的に関係者間で議論しながら作っていくものですが、チームやPJの中には、なかなか議論が活性化せずに形式的に実施して終わるケースもあります。

こうなると目的に記載している振り返りの改善効果を得ることができないため、解決していく必要が出てきます。

まずは振り返りに限らないですが、アイスブレイクを挟むことで意見を出しやすい空気をファシリテーターが作ることは大事です。

さらに議論の最中に、積極的にファシリテーターが各参加者に意見を求めて活性化する流れを作りましょう。前述の小集団グループに分離してしまうのも有効です。

あと振り返りのフローで記載した付箋紙を使う方法も意見が出しやすくなる手法の一つになります。

もしオンラインでの振り返りでこういった課題がよく出ている場合は、実際に集まって付箋紙で出してみると状況が変わる可能性もあります。

なかなかファシリテーターの行動だけで解決できないケースもあるため、実施手段に手を入れてみることも検討してみましょう。

多くの課題が出てきて振り返りが終わらない

KPT_多くの課題が出てきて振り返りが終わらない

意見が出ないのも問題ですが、活発に議論が発生して全く終わらないのも問題です。

基本的には振り返りの時間自体が何かを生み出す時間ではありませんので、振り返りに多くの時間を使いすぎることでチームの生産性が低下し、他のタスクに対する影響が出てしまいます。

ファリシテーターの役割である適切な時間配分やアジェンダ管理が求められる部分です。

ただ振り返りで十分な時間が確保されない場合、参加者が十分に意見を共有できなかったり、議論が浅くなったりすることがあり、結果的に問題点や改善策が見落とされる可能性もあります。

そのためバランスが難しい課題ではありますが、事前に課題を共有しておく・議論の途中で優先順位をつけて特定課題にスコープを絞る・ある程度Agendaや1課題に対するタイムキープを行う等が有効です。

また本課題に限らず、ファシリテーターにはある程度の権限を与える(または権限を持った人をアサインする)ことが重要になります。

脱線して非生産的な議論が続いてしまう

KPT_脱線して非生産的な議論が続いてしまう

議論が活発化したときには、脱線して非生産的な議論に進みがちです。特に改善案検討の時間は気をつける必要があります。

振り返りで非生産的な議論が続くと、問題点や改善策の本質的な検討が進みません。

また非生産的な議論によって、参加者のモチベーションが低下し、振り返りの効果が損なわれることがあります

この課題も基本的にはファシリテーターが処理する問題ですが、そもそもの目的を再確認する(=リセット)、優先度の低い・関連性の低い議題は一旦保留にするなど、交通整理してあげる事が重要です。

ファシリテータースキルも当然重要ですが、繰り返し記載している通り、ファシリテーターにある程度権限を与えないと、こういった課題に対処できないことを覚えておきましょう。

振り返りが形骸化する

KPT_振り返りが形骸化する

同じチームやメンバーで何度か振り返りすると出てくる問題です。

特に仕組み化した振り返りMTGの場合は、実施が形骸化してしまい参加者が単に手続きをこなすだけになってしまうことがあります。

こうなると振り返りは実施されるものの、改善アクションに繋がるコメントが出てこなかったり、改善アクション検討時に消極的になったりと、本来の効果が弱まってしまいます。

振り返りを実施することが目的になっている状態であり、「なぜ振り返りをやるのか」「振り返りを実施することで自分たちにどんなメリットがあるのか」を定期的に伝えることが必要です。

また形骸化する要因の一つとして、改善提案しても改善に繋がっていないことが起因しているケースもあります。

参加者の主体性やモチベーション維持が重要ですので、実際に改善に繋がっていることを参加者が感じることも重要な考え方になります。

積極的に改善アクションの評価結果を関係者に連携するようにしましょう。

他には振り返り用のフォーマットを変える、実施方法を変えてみる(オンライン⇔オフライン等)、ファシリテーターを変えてみる等も有効です。

KPT振り返りまとめ

振り返りは、プロジェクトやチームの活動を客観的に評価し、改善のために実施される大切なプロセスです。

ソフトウェア開発からコーポレートまで、様々なシーンで効果的に活用できます。さらにKPTフレームワークを用いることで、振り返りがよりスムーズに行えるようになります。

振り返りには適切な手法やコミュニケーションを取り入れることが重要です。課題を解決しつつ、効果的に行い、チームの成長を促すために、さまざまなアプローチを試みてみてください。

振り返りを大切にすることで、チームやPJは確実に向上していくことでしょう。

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