このページでは、NMAT試験を受けるために実施する対策や、購入すべき書籍について紹介します。
会社によっても異なりますが、私が受験した際には受験の約1週間前にNMAT試験の実施が伝えられました。
仕事以外の時間を除くと、満足に対策の時間を取れない状態ではありましたが、結果として以下の通り、ほぼ完璧に近い結果を得ることができました。
- 概念的理解は5点満点中5点
- 論理的思考は5点満点中5点
- 性格特徴は最適な結果
- 職務別タイプ適応性と志向は一部を除き最適な結果
今回の独学による試験対策を行った上記の結果に加えて、社内の人事担当者にヒアリングした結果もふまえて解説します。
これからNMAT・JMATを受ける人への参考になると幸いです。また本内容は2021年後半に受けた試験の内容となります。
概念的理解・論理的思考などの内容解説の前に、まずはNMATについて理解しておいたほうがよいため解説します。
NMATとは?
NMATとはリクルートが提供する「管理者適性検査」の試験です。管理者への昇格前や昇進させる前に外部目線でのチェックをするために利用されます。
ざっくり言うと「昇格・昇進を決めるためのテスト」と読み替えられます。
本試験の結果のみで決まるわけではありませんが、昇格・昇進させようと思っているが大丈夫か?というフィルタリングの要素として使われるため、判断の大きな要素の一つとして考えておくべきでしょう。
国内での実施規模も広く、年間で1200社以上、4万人以上が受験する試験であり、会社の規模にかかわらず様々な業種で採用されている試験になります。
主に人事部が既存社員の能力をはかるために利用されますが、受験後に受験者へのレポートが返却されるため自身の気づきにも繋がります。
また原則としてペーパーテストによる実施となり、Webテストはありません。すべてマークシート方式による回答となります。
大きく以下3つの構成に分かれており、合計で2時間近くの長丁場となるため、集中力の持続も求められます。
- 言語能力:35分
- 非言語能力:35分
- 性格・志向検査:40分
「言語能力」は国語能力をはかる試験です。読みづらい長文(2~3分)を見て質問に回答していく内容になります。
「非言語能力」は主に数学能力をはかる試験です。小学5,6年生の知識でカバーできる内容ではありますが、方程式を使ったほうが解きやすいケースもあります。
「性格・志向検査」は試験というよりは質問に答えていき、性格や志向をはかる内容になっています。質問内容は「ひらめきを大切にするほうだ」など。
いずれもある程度の攻略法と効果的な独学の方法があり、事前に知っておくことで高点数の獲得と独学時間の短縮に繋げることが可能です。
本ページ内で各構成ごとに対策方法を記載していますので、参考にしてみてください。
NMATとJMATとの違いは?
NMATが「管理者適性検査」であることに対して、JMATは中堅までの社員を対象とした「適正志向診断検査」になります。
問題の構成などは同じで、若干取り扱う問題が異なります。こちらも原則として昇進・昇格だけではなく、昇給判断に使われる可能性もありますので、可能な限り事前の対策を実施しておくことをおすすめします。
本記事ではNMATについて解説を行っていきますが、JMATにも通じる内容となっています。
NMAT対策のおすすめ問題集・書籍は?
2021年の後半時点では以下3冊の本が発売されています。結論としてはすべて購入しておきましょう。
基本的には3冊の問題をすべて解いて問題の傾向を把握しておくことが重要になります。
史上最強のNMAT・JMATよくでる問題集
「史上最強のNMAT・JMATよくでる問題集」は難易度としては一番高い本であり、本試験では青本ベースの難易度で出題されます。
※出題回によって難易度が変わる可能性があります。
この本を初見で問題なく解ける方は、対策なく高得点が取れるでしょう。逆に全く対応出来ない場合は、時間の許す限り青本の中から自分の解ける種類の問題を決めておく必要があります。
難易度が一番本番と近いため、確実に購入することをお勧めします。
新傾向に完全対応!NMAT・JMAT再現問題集
続けては白本と呼ばれている「新傾向に完全対応!NMAT・JMAT再現問題集」になります。難易度としては青本の次に高い難易度です。
個人的には青本のほうが実際の試験に近いかな・・という感覚でした。
こちらの本は他の2冊に比べると問題の解き方が別ブロックで丁寧に解説されています。非言語能力試験の解き方が一番参考になったので、結果的には一番向き合った本です。
青本とは別の問題が多く載っているため、合わせて購入するようにしましょう。
完全再現 NMAT・JMAT攻略問題集 全面改訂版
3つ目に紹介するのは「完全再現 NMAT・JMAT攻略問題集 全面改訂版 (本当の就職テスト)」です。黄色本と呼ばれています。
似た黄色の本で改訂前の本があるため、2020年発売の全面改訂版を購入しましょう。
難易度は他2冊に比べると一番優しいか、一部は白本と同レベルという内容です。この本で問題なく解けても本番で通用しない可能性もあるため注意です。
またほぼ問題集の扱いで、答えの内容に解き方が少し載っているという内容です。
この本は問題パターンを多く把握するという意味でも重要ですが、「性格・志向検査」に対しての解説や対応方法が黄色本が一番詳しく載っています。
質問例の記載も一番充実しているので、「性格・志向検査」に関してはこの本のみで対策可能です。
NMAT 言語能力・概念的理解の対策方法
言語能力をはかるための試験で、文章を読んで複数回答を行う問題形式と、反対語や同義語を選ぶ問題などが出題されます。メインは長文問題形式です。
全く同一の問題が出題されることはないため、答えだけ記憶しても意味がありません。
また言語問題に関しては、普段からいかに文章に触れているかが重要だと感じました。
問題集を通すことで問題の傾向は掴めますが、短期的な伸びしろは少ないため、対策の時間が多く取れないのであれば他の「非言語能力」・「性格・志向検査」に時間を使ったほうがよいでしょう。
長文問題は問題文と回答を交互に進めるよりも、文章を一気に読んで、回答を進める形のほうが個人的には合っていました。
3冊通しておくと、問題の出そうなポイントはある程度理解できてくるので、テストの時間短縮には繋がるかもしれません。
問題は35分間のため、長文問題で詰まる内容が出てくれば、どんどんスキップして先に進むことをお勧めします。
NMAT 非言語能力・論理的思考の対策方法
論理的思考力を試される問題で、いくつかのパターンに従った問題形式になっています。
この論理的思考力部分の点数を上げることが、事前対策で一番有効な時間の使い方といっても過言ではありません。
言語能力と同じく全く同じ問題が出題されることはないため、答えを覚えても意味がありませんが、解き方にはいくつかパターンがあるため、問題を解く過程でパターン認識から回答開始まですぐに移れるように対策しておきましょう。
数学力は中学1年生程度の知識が必要となり、難易度が高いものを求められないため、パターン認識と応用力がつけば対応可能です。
ある程度事前に対策を行っておくことで、苦手な方でも点数を確保できる部分かと思われます。
3冊ともに各パターンに対する解き方には若干の違いがありますので、3冊通して実施して自分にあったやり方を見つけて問題集をやり込む形がよいでしょう。
例)方程式を使って解くやり方とベン図を使って解くやり方など
また個人的には言語能力問題よりも時間が足らなかったため、自分の得意なパターンをあらかじめ見つけておき、解ける問題から解いていくのは有効です。
同じく35分間と時間の余裕がないため、詰まった場合はどんどん後回しにしていきましょう。
NMAT 性格検査・適応性思考検査の対策方法
こちらは問題ではなく、質問に答えていくタイプです。
ある程度時間は定められているものの、タイムアップがないため、急がずに答えていくことができます。
性格・志向検査
受験者の性格傾向を把握するための問題が出題されます。最終的には以下8つの尺度に対して分類されます。
- 対人面。内向的か外交的か
- 集団との関わり。調整型か統率型か
- 判断基準。心情的か理性的か
- 状況の捉え方。繊細か強靭か
- 課題への姿勢。維持タイプか変革タイプか
- 課題への取り組み。思索タイプか行動タイプか
- 意思決定。慎重か大胆か
- 目標設定。承認タイプか自律タイプか
まず最初の4つは対人面での性格的特徴です。対人面は外交的・統率型・理性的・強靭がよいでしょう。どういった組織タイプを求められているかにもよりますが、間違いのない回答です。
続けて後半の4つは課題解決に対する性格的特徴です。課題解決は変革・思索・大胆・自律がよいとされています。
変革を好み、大胆な行動をしつつも思いつきで動かないタイプで、周りに振り回されずに自律して行動できるタイプになります。
課題への取り組みと意思決定が見分けがつきづらいため、迷ったら自分の行動に近い回答をするのがよいでしょう。
またこの辺りの回答は、自身が会社からどういった役割を求められているか、次の役職で期待されているかによって変わってきます。
役職タイプ
上記の8つの尺度から役職タイプが決まります。役職タイプは以下4つのタイプでそれぞれに適応するかどうかが「適応性」「志向」それぞれで決まります。
- 組織管理タイプ
- 企画開発タイプ
- 実務推進タイプ
- 創造革新タイプ
適応性=志向が一致していれば、自分がやりたいタイプかつ適応できると判断することが出来ます。
また会社が期待しているタイプの適応性・志向があるかを見られることになりますので、昇進・昇格を目指している場合は、求められているタイプを把握しておくようにしましょう。
適応性・志向があると判断されるために、どういった設問にどういう回答を行うべきか、黄色本に詳細に記載されていますので、性格・志向検査目的だけでもおさえておくことをお勧めします。
NMAT受験時の注意点
ここまで説明した内容以外にも注意するポイントをまとめておきます。
時間切れに注意する(言語能力問題・非言語能力問題)
言語能力問題・非言語能力問題ともに時間配分には気を付けましょう。
時間の余裕がないため1問辺りに使う時間を決めておき、オーバーする場合は次の問題に進みましょう。
また非言語能力問題は自分が解ける種類の問題から進めることが重要です。そのためにも事前に問題集を解いておき、自分の得意なパターンを見つけておきましょう。
会場に時計がないことがあるため、事前に確認しておくことも大事です。
フェイク問題に気をつける(性格検査・適応性思考検査)
自分を良く見せることができてしまうため、中にはフェイク問題と呼ばれる設問がいくつか入っています。
例えば「時間を守れなかったことはない」などです。この辺りでYesとすると、回答すべてに疑問符が付く形になりますので、常識的に考えてありえない回答をしないように気を付けましょう。
こちらも黄色本で解説と多少ですが、事例も掲載されています。
NMAT結果の見方
言語能力問題・非言語能力問題・ 性格検査 / 適応性思考検査の結果が、受験者にフィードバックされます。
人事用のフィードバックと受験者用のフィードバックに分かれており、受験者用のフィードバック内容について解説します。
言語能力問題
「概念的理解」・「論理的思考」の2つに対して、5段階で評価されます。一概に何%取れば最高評価というのは無さそうで、偏差値の考え方で決まるようです。
私の場合は「概念的理解」は自身評価で約9割の正答、「論理的思考」は約8割の正答評価でした。
そのためあくまでも目安ですが、7割・8割を超える正答率があれば、最高評価になるのでは?と考えられます。
努力を要する~適応性があるの5段階となり、どういった組織タイプかは関係なく高い方が有利です。
性格検査 / 適応性思考検査
性格検査 / 適応性思考検査は8つの尺度に対して6段階の評価が実施されます。(非常に・かなり・やや)
また職務タイプは4つのタイプに対して、5段階の評価が実施されます(適用しやすい~適応に努力を要する)
職務タイプは全て完璧である必要はありません。自分が求めている・求められている職務タイプに「適用しやすい」となるように回答しましょう。
ただ内向的・外交的のようにどのタイプにおいても、外交的であることが有利に働くケースもあるため、黄色本を通した事前対策をおすすめします。
その他疑問点
SPIとの違いは?
SPIと同じリクルートマネジメントソリューションズ社が作成している問題になるため、問題のタイプから対策まで非常に似ています。
非言語能力問題は対策が有効なため、問題集による事前学習をおすすめします。
合格点は何点?足切りラインは?
言語能力問題の項目で記載したとおり、難易度によっても変わってきますが、7割・8割の正答率を目指しましょう。
事前学習時点では青本レベルの難易度で7・8割取れるように対策しておくことが必要です。
また性格検査 / 適応性思考検査は黄色本による対策をおすすめします。Webで調べる内容より遥かに深い内容が記載されています。
結果は何に使われるの?
昇格・昇進の判断基準の一つとして使われます。
あまりにも言語能力問題の評価が低い、性格検査 / 適応性思考検査による組織タイプのズレが大きい場合は、昇進を見送られるケースも考えられます。
また基本的には何度も実施する試験ではないため、1回の試験結果が長期間利用される可能性が高いです。
問題集はどれを購入すべき?
3冊とも購入しましょう。事前の短期対策としては可能な限り多くの質問・回答に触れておくことが重要であり、それぞれの本に役割があります。
前述の通り、今後を左右する使われ方も想定されるため、全て購入しても数千円の元は確実に取れます。
まとめ
ここまで記載したとおり、1週間だけでも事前対策は非常に有効であり、対策の実施・未実施で大きく差がつく試験となっています。
また今後の昇進や給料にかかわってくる可能性が高く、問題集の料金と対策にかける時間を確実に取り戻すことができます。
事前の対策不足で後悔しないように、この記事をきっかけに対策を進めてみてください。