「天才を殺す凡人」を読みました。1回読み終わった後に再度まとめ部分を読み直して1週半くらいです。
本は最初ストーリー形式になっていて渋谷のハチ公が本物の犬になって悩めるサラリーマンをサポートしていく話が続きます(これだけ聞くとよく分からん状態ですが)。
その後にストーリーの中の人物を通して、各ポジションの説明していく流れで入りやすかったです。
もともとはブログから火がついたようです。こちらから。
http://yuiga-k.hatenablog.com/entry/2018/02/23/113000
著者:北野唯我さん
博報堂出身で「転職の思考法」の本の人
『週報』 北野唯我のブログ。人材領域をサイエンティフィックに、金融市場のように捉える為の思考実験の場。
天才と秀才と凡人
この本の中では大きく人のタイプを3種類にカテゴライズしています。
下に記載するのはそれぞれのカテゴリの人が持つ共感ポイント。例えば凡人は周囲と共感できる内容であるかを判断軸にする。
天才:創造性。世の中にないアイデアを生み出すことが出来る
秀才:再現性。論理的に物事を考えることができ、事実や数字で物事を判断しながら進めることが出来る
凡人:共感性。その場の空気や感情を読み取りながら、周りとの調和を大事にして進んでいくことが出来る
本の中ではあらゆるタイプの人がこの3つのどれかにカテゴライズされるわけではなく、全員がそれぞれの要素を持ち合わせているがその中でもいずれかに長けているという位置づけのようです。
また後半からはこの3つのカテゴリの中間に位置する繋げる役割の話も出てきますが、今回は上記3カテゴリについて感じたことを書いてみようと思います。
天才ってどういう人?
私がIT系に属していることもあり、ぱっと出てくるのがiPhoneを生み出したAppleのスティーブジョブズや開発言語Basicを開発したビルゲイツなどですね。
ちなみに本の中でのストーリーではそこまで大きな話ではないですが、突出した創造性で周りの共感を得られず苦しんでいる内容となっていました。
このカテゴリで一番感じる部分があったポイントとしては天才が出したアウトプットに対して評価するKPIがないという話です。
例えば今この世の中にないものだったり、一般的にはNGと捉えられている物事を推し進めることになるため、共感も得られない、実績もない、将来の期待値も見えづらいといった状態です。
私の会社はある程度の規模ですが、こういったアイデア(突拍子すぎるものはないですが)が押しつぶされる場面を何度も見てきました。
いままで接してきた判断者や上司にあたる人は圧倒的に凡人 or 秀才が多かったです。凡人といってしまうとマイナスに捉えがちですが、いわゆる共感されるか・実績や期待値を打ち出せるか(本の中でいうところの再現性はあるか?)を求めてくる人がほとんどでした。
私もエンジニアをやりつつサービス面の提案なども周りと比べても多く実施してきましたが、本当に通し切るのが困難でした。
まずはエンジニアは開発だけしてればいい・サービスやビジネスの理解が無いという先入観で捉えてくる、そこを突破しても実績もない期待値も見えづらい状態で思いつきのアイデアにしか見えない状態であることも多く、現実的に取れない数値や情報を要求され諦めた経緯があります。ただ批判しているのではなく、おそらく逆の立場でも同じ判断をしてしまうように思います。
そのため会社やサービスで考えた際に天才がいればOKではなく、それを受け入れる環境も必要だなと読んでいて感じました。本にも近い内容が書かれていたように記憶しています。
ちなみに私も今の会社で1000人を超える人と会ってきましたが、即座に天才とカテゴライズされるほど振り切った人は数える人しかいませんでした。中には正当な評価がされずに他社に移動して活躍している人もいます。
判断者にあたるひともいましたが、当時を振り返ってみると天才にカテゴライズされる人の場合、ある程度の情報が揃っている前提で直感的な判断を下す場面が多いように感じました。
秀才ってどういう人?
私の会社に当てはめると圧倒的にサービス責任者に多いです。全てが論理的な思考と判断、打ち出す施策も確実性が高くチャレンジングな要素が薄い、競合他社も多くいるのですが基本的に前に進んでいる成功モデルを後追いしている、まさに再現性を多分に発揮しています。
イコール企画判断者になっているため、突拍子もないアイデアなどは当然受け付けてもらえないです。どうにかテーブルの上にあげたところで再現性の確度の高いものがプライオリティとして上に来ることが多く、なかなか形にならずに消えていくものも多くあります。そういったアイデアはフットワークの軽いベンチャーに先行され使い物にならなくなるケースも多いです。
進め方や判断は合理的かつ論理的ですし、ある程度の成果をコンスタントに出す人が多いように見えます。データ分析関連やサイエンス系にも多いイメージです。
この後の凡人の話でも書いていますが、個人的な受け取り方としては何かの判断をする際に論理>共感で判定できる人。だと考えています。
凡人ってどういう人?
凡人に当てはまる人は秀才とは逆に共感>論理で判断する人だと思っています。ただあまりこの3つのカテゴリに対して優劣をつけてはいないです。
というのも共感性って大事な要素だと考えていて、大小物事を進める際に共感性を持って動けるかどうかは協力者を得る、判断者含めた周囲の空気を読めることは重要です。
私も含めですが、マネジメント職にあたる人は職種に限らず多いように見えます。私も様々な判断を求められることが多いですが、論理的に考えてAだと感じるときにでも、その時の状況や選択した際の周囲の反応、次の判断者の性格などを踏まえてBを選択するようなケースも多々あります。
総合的な感想
この3つのカテゴリは生まれ持った先天性のものではなく、いずれも鍛えることができると記載されています。
天才でいうところの創造性と凡人の特徴である共感性は後天的に伸ばしづらい部分だとは思いますが、こういった3つの分類を意識しておくと、様々なところで利用できると思います。
- 自分のタイプを客観視することで判断や進め方を再チェックする
- 相手のタイプを理解して、適切な進め方や情報を提供することができる
- 3つのタイプを理解することで、相手の発言を一歩立ち止まって考えることができる ※例としてまた何か言っているで終わらせていた人が実は天才タイプなのでは?など
- 今の自分の立ち位置と今後伸ばすべき領域の方向性が見えてくる
参考リンク
このあたりでも作者が語っているため合わせて読んでみるのをおススメ