KPI、および目標は事業責任者から全メンバまで関係者全員が明確に理解して進む必要があります。
ある程度KPIを理解した上で、事業目標に沿った定量化されたKPIを策定したとしても、それぞれの立場や職種から見た意味合いが受け取り方が異なることも少なくありません。
それを防ぐためにはSMARTに応じたKPIの設定が非常に有効です。
SMARTとはなにか
SMARTは以下の頭文字からとった用語になります。
- S(Specific):明確性
- M(Measurable):計量性
- A(Achievable):達成可能性
- R(Relevant):関連性
- T(Time-bound):期限
全ての策定されたKPIは上の5つの項目すべてを満たしていることが望ましいです。一つずつ紹介していきます。
Specific:明確性
まず最初に重要なことは定められたKPIが誰から見ても明確な分かりやすいKPIになっていることです。
用語集などを定めて使っている用語を揃えること、全関係者が理解できるロジックに沿った指標になっていること、置かれている事業目標とゴール設定が何故会社として、事業として重要であるかを全関係者が認識しておく必要があります。
5W1Hに沿って設定することが望ましく、特にwhyの部分について、時間をかけて説明する必要があります。
M(Measurable):計量性
続けて測定可能であることが重要です。
こちらはKPIをある程度勉強した人であれば当たり前の話ですが、目標値が定量化されていることを指すワードではありません。
現状どういった数値であるか、極力リアルタイムに近い形で取得できる情報であるか、また目標はどこにあるか明確性をもって誰が見ても共通の指標である必要があります。
そもそも定量化できない指標や取得することが困難な指標である場合は目標設定に不向きであるため、別な指標に置き換えることを検討するほうがよいかもしれません。
また相対的な数値ではなく絶対値をおくことが望ましいです。例えば「売上を現状の1.5倍」ではなく「売上を3億円」とするほうが明確性の観点からも良いでしょう。
A(Achievable):達成可能性
実現可能性を指し示す言葉です。また陥りやすいポイントとして、KPI設定する範囲の部署や事業がコントロールできる指標となっているかを確認しましょう。
立てられた目標がいかに明確であり定量的な目標となっていたとしても、そもそも現実的でない目標や達成不可能な目標になっているのでは設定する意味がありません。
KPI設定の後に具体的なアクションプランに落とし込んでいく必要がありますが、そこで気づき手戻りするのではなく、ある程度KPIを設定するタイミングでた現実的な KPI 目標を定める必要があります。
またどの立場から見ても達成可能と認識して進むことができる指標となっていることが必要です。
R(Relevant):関連性
KPI 設定で意識するべきポイントとしてはKPI指標がツリー構造で表現されている必要があります。
例えば代理店が運用するデジタルマーケティングを例に考えてみます。
最終的なゴールがインターネット広告経由の資料請求数(獲得数)するとおくと、中間のKPIとしてはコンバージョン率やクリック率、クリック数となります。
そして自分の部署がバナー制作や広告運用を持っているのであれば、コントロール配下にあるクリック数およびクリック率を部署目標と定めることで、結果的に最終目標である資料請求数を達成することにつながると判断できることが重要になります。
ここで必要なポイントはクリック数・クリック率を高めることで結果的にコンバージョン数(資料請求数)が伸びるというツリー構造を全関係者が共通認識として持つことです。
※実際はもっとツリーのレイヤが深くなり分かりづらくなることが多いです。
T(Time-bound):期限
最後の T は目標設定期限になります。いかに明確で定量化されたKPIであっても、いつまでに達成する必要があるか明確になっていないとアクションプランが立てられません。
また実現可能性も時期によって左右されるのでいつまでに何を達成するかは最初に明確にしておく必要があります。
ここで必要なポイントとしては極力1年や半期を最終ゴールと定めて中間のゴールをいくつか置くことがお勧めです。中間ゴールに達しない場合のリカバリプランをあらかじめ定めておくことで当初予定していた軌道に乗せられなかった場合も息災にリカバリを実行することはできるようになります。
最後に
SMARTのKPI設定はチェックリストとしても有効に使えます。 KPIを定めた後にSMARTに沿ってKPIが立てられているかをチェックしてみて、運用可能かどうかを事前に確認するのが良いでしょう。
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