アイデアを生み出すには、いきなりアイデアを生み出そうとするのではなく、順序があるよ。という話が約100ページでまとまっており約1時間程度で読み切れる本です。
本書の初版は1940年とかなり昔の本です。ただ私が今年買った時点で既に75版と超ロングセラーとなっています。
結論
アイデアのつくり方の結論として、アイデアを生み出すためには、以下5つの順序で実施するべきと語られています。
- データ集め
- データの咀嚼
- データの組み合わせ
- アイデア発見
- アイデアチェック
かなり昔の本であることと、直訳が多いことから、かなり本記事に落とす際に噛み砕いて書いているため、著者が伝えようとしている内容から外れている可能性があるかもしれません。ご了承ください。
本書を知ったきっかけ
DaiGoさんの動画です。ペンシルベニア大学式「想像力で稼ぐ6つの方法」というタイトルですが、動画の中でアイデアを思いつくための良書として紹介されています。
著者の ジェームス・W・ヤング はどんな人?
著者のジェームス・W・ヤングは1886年生まれで、様々な経歴を経て当時のアメリア最大の広告代理店であるJ・ウォルター・トムプソンでコピーライターとして働いています。
その後、同社の副社長まで上り詰めたあと42歳でで引退し世界を旅したそうです。旅から帰ったあとに経営史と広告の教授としてシカゴ大学で教壇にたっています。
アメリカの広告エグゼクティブで、The Advertising Councilの初代会長や、アメリカ広告連盟の殿堂入りをしており、広告業界で活躍した人物になります。
本書でも主に広告業界視点で語られていますが、内容は広く様々な分野で適用できるものになっています。(あとがきでも訳者が同様のコメントをしています)
アイデアを生み出すためには順序がある
繰り返しになりますが、アイデアを生み出すためには以下順序で進めるべきだと語られています。
- データ集め
- データの咀嚼
- データの組み合わせ
- アイデア発見
- アイデアチェック
もちろんアイデアをいきなり閃こうとすることも可能ですが、本書の位置づけは早くアイデアを生み出す手順を紹介するという位置づけです。一つずつ紹介していきます。
はじめに。パレートの学説(パレートの法則)
この世界の人間は二つの主要なタイプに大別できる
一つ目は投機的タイプ:新しい組み合わせの可能性に常に夢中になっている
二つ目は保守的タイプ:型にはまった着実に物事をやる想像力に乏しい保守的な人間 投機的な人々によって操られる側の人々
生まれつきのものなのか、育った環境起因によるものか分からない。ただ現実的にこの人々は存在するということ、またアイデアを作り出す才能は手順を知ることで、伸ばすことが出来るということを知る必要がある
アイデアを作り出す才能を伸ばす
アイデアを作り出す才能を伸ばすための方法について。
第1に原理を知る、第2に方法を知る。全ての事象にあてはまる内容でありアイデアを作り出す技術についても同じことが言える
アイデアをどこからか探してくるわけではなく、全てのアイデアが発想されるために必要な方法は現状把握であること、アイデアとは常に既存の要素の新しい組み合わせで作られることを知っておく
アイデアを生み出す才能とはいかに閃くかではなく関連性を見つけ出すことである
データ集め
この作業を無視して、いきなりアイデアを生み出そうとしていることが多い。データは2種類に大別される
特殊資料
特殊資料はアイデアを生み出そうとしている領域の資料。例えば製品を売り出そうとしている場合、製品の資料だけではなく、ターゲットとなる消費書の情報や現状課題などの資料などを含む必要がある
一般資料
一般資料とは 人生とこの世の種種様々な出来事についての一般的知識。アイデアを生み出そうとしている領域外の情報全てを指す
データ集めの方法、保管について
記録することが重要。この後の作業で関連性を探し出しやすくするためカードに書いて記録するなどが良い
また副次的な目的として資料集めの仕事を怠けることを防止する、資料を文章に表現することを強制することが出来る
集めたデータはすぐに取り出せる、探せるようにしておくことが理想。現代だとEvernoteなどで管理するのがよさそう
また一般資料を集めることで特殊資料に繋がるアイデアに繋がることもある
データの咀嚼
次に集めてきた資料内一つずつ多角的に眺めて要素(事実)を抜き出す
要素は字義どおりに解釈しないように意識したほうがよい
データの組み合わせ
2つの要素をかけ合わせてみる。そのため前項で抽出した要素は多いほど良い
仮アイデアや部分的なアイデアが浮かんできたら書き留めておく。完成度は気にしない
何も浮かばなくなり止まったら次のフェーズに進む
アイデア発見
この段階に達した時点で、一度自分の想像力や感情を刺激するようなものに心を移すのがよい。音楽をきいたり、映画を見たり
データの組み合わせまで終わったタイミングで上記内容を実施することでなにか新しいアイデアが訪れてくる
ただし常にアイデアを考えていることが重要。一例としてニュートンが引力の発見をしたときに閃いた経緯について「ずっと考えていたから」と話している。具体的に発想した方法は本人にも分かっていないのではないか
アイデアチェック
適用段階。現実的なアイデアに落とし込む
発想したタイミングでは素晴らしいアイデアだと考えていても、現実的に突き合わせてみると困難な場合が多い。ここで沢山の手を加えて現実的に適用できるレベルまで引き上げていく
このフェーズでたくさんのアイデアが日の目を見ずに終わっていく。発想者が本フェーズで忍耐や実際性に欠けている場合が多い
ここで実施する内容としては「理解ある人々の批判を仰ぐ」こと。いわゆるレビューを受ける
いいアイデアは自分で成長する性質を持っており、良いアイデアはみる人々を刺激して手をかしてくれる。自分では見落としていた数々の可能性が出てくる
ちなみにエジソンの言葉である「1%のひらめきと99%の努力」にもある通り、アイデアも100個あった中で使えるのは1個程度である
まとめ
アイデアを閃くためには以下の順序で実施することが必要です。
- データ集め
- データの咀嚼
- データの組み合わせ
- アイデア発見
- アイデアチェック
1で関連領域の現状を深く知ること、関連領域に限らずすべての領域においてのデータを常に記録する行動を取ります。
続けて2で1で集めたデータを様々な視点から要素に分割していきます。
3で各要素の関連を見ていきましょう。ここまで終わると一度アイデア発想の場から離れてリラックスできる状態に自分を持っていきます。
断片的でも良いので何かが生まれたら現実的な内容に落とし込んで、有識者のレビューを受けます。ここまでがアイデア発想および形にするまでの1サイクルです。
ちなみに1,2,5は意識的に行動するフェーズですが、3,4は無意識に実施するフェーズであり、いわゆる才能が必要となる部分になります。
ただし3に関してはKJ法など既にあるフレームワークを利用することで意識的な行動に転換することも可能となります。