各領域で急激にサブスクリプション(サブスク)が広がってきています。サブスクリプションとは一言で言うと定額制で月々一定の金額を支払うことで、商品やサービスを利用できるというものです。
例えば、月額料金を支払うことでドラマや映画が見放題になるものや、飲食店で1ヵ月食べ放題など、ありとあらゆる業種にサブスクリプションが導入されています。
車のサブスクリプションサービスもトヨタが提供を開始したKINTOを始めとして広がりを見せています。
車離れの加速や、車の購入にかかる初期費用が高額になることから、若年層を中心にマイカーを持つという昔ながらの意識が薄れてきており、「所有する」という意識から、「利用する」意識への変化が急速に進んできているジャンルでもあります。
この記事では、以前よりあったレンタカーやカーシェアなどのサービスとの違いや、サブスクリプションサービスを利用することによるメリットやデメリットなどを紹介していきます。
車のレンタカー・カーリース・カーシェア・サブスクって何が違う?
車に乗るとなった場合、今回紹介するサブスクリプションサービスを含めて様々な契約体系があります。
レンタカー、カーシェア、カーリース、サブスクリプションなど様々な形態がありますが、いずれも提供されるサービスや契約に違いがあり、普段の生活での車の使用頻度によって、最適な形態は変わってきます。それぞれの違いについて1つずつ見ていきます。
契約の期間が異なる
- レンタカー:数時間~数日
- カーシェア:数分~1日
- カーリース:数か月~から長期
- サブスクリプション:数か月~から長期
レンタカーの契約期間は用途によって数時間~数日くらいが中心です。ちょっとした旅行や出張先などでの短期間の利用に適しています。
カーシェアは更に短く、数分~1日くらいです。普段は車は必要ないけれど「ちょっと今日は車が必要な買い物がある」など短時間での利用に使われることが多いです。
それに比べてカーリースとサブスクリプションの契約期間は長いことが多く、数か月~数年、長い時は10年~になることもあります。
またレンタカーやカーシェアとの違いとしてマイカーのように手元に車がある状態となるため、日常的に車を使用する方に適している形態のサービスとなります。
契約満了時の扱いが異なる
レンタカーやカーシェアの契約満了は、車の利用を終えた時です。レンタカーは借りたレンタカー会社に返却します。
乗り捨てといって借りた店舗とは違う店舗に返却することも可能です。カーシェアもサービスにより異なりますが、原則利用を終えたら元の駐車場に返却しなければなりません。
カーリース、サブスクリプションも契約満了時には基本的に車は返却することになります。しかし希望すれば車を買い取ることも可能で、サービスによっては利用年数に応じて所有権が手に入るオプションがある場合もあります。
途中解約の可否
レンタカーやカーシェアでは、契約途中の解約が可能です。一方カーリースやサブスクリプションでは、年単位で契約されるサービスが多く契約途中での解約は基本的にできません。
途中解約では違約金などの支払いを求められることが多いです。
毎月の支払料金の違い
レンタカーは車を契約した利用時間分の料金を支払います。一方カーシェアは、まず会員になる必要がありその会員費+車を使用した時間分の料金を支払います。
カーリース、サブスクリプションでは、契約期間中、毎月決まった金額の支払いをする形になり基本定額での支払いとなっています。
税金やメンテナンス代が含まれるかどうか
- レンタカー:利用期間内の利用料
- カーシェア:利用期間内の利用料
- カーリース:固定費+各種税金、保険証、メンテナンス費用
- サブスクリプション:固定費
レンタカーやカーシェアでは、契約が短期間なので税金などの支払いはありません。カーリース、サブスクリプションには、自動車税などの税金や自賠責保険の料金があらかじめ含まれています。
さらに、サブスクリプションでは車検代やオイル代などの車のメンテナンスかかる費用も含まれています。
任意保険の扱い
レンタカーやカーシェアでは、短期間のために自分で任意保険に加入する必要はありません。利用料金に保険の料金が含まれていることが多いです。
一方カーリースの場合は、自分で任意保険へ加入する必要があります。代わってサブスクリプションでは、多くの場合支払う月額料金に任意保険の料金が含まれていることが多く、各サービス形態による違いがあります。
車のサブスクを利用するメリット
サブスクリプションサービスを利用して車を所有するメリットは、大きく下記5つがあります。
- まとまったお金が無くても車を持てる
- 契約期間を長くする、残価設定をすることで月々の支払いを安くすることができる
- 月額料金+燃料費以外の出費がない
- 車を手配する手間がない
- 車種を自由に選択できる
まとまったお金が無くても車を持てる
車を買おうと考えた場合、現金一括で買うのか、それともローンを組むのかをまず考えます。
一括で払う場合はもちろん車を買えるだけのお金を用意する必要がありますが、ローンの場合も頭金をいくらか支払うことが多いです。所有する場合は、今までの場合は初期費用が多くかかっていました。
サブスクリプションの場合は、所有できる点は変わらずに毎月定額の支払いとなるため初期費用を持ち合わせていない人でも車を持つことができる点がメリットです。
契約期間を長くする、残価設定をすることで月々の支払いを安くすることができる
サブスクリプションで車を所有する時、少しでも月々の支払いを安くしたいものです。
そんな時には、長期間の契約をすることや残価を設定することで月額料金を安くすることができます。契約期間中にかかる費用を均等にして月額料金が設定されるためです。
契約期間が長ければ、その分支払い回数が多くなるため1回毎の金額は少なくなります。また残価を設定することで期間中にかかる費用が少なくなるため、月額料金が安くなります。
月額料金+燃料費以外の出費がない
車を所有している場合、毎年5月末までに支払わなければならない自動車税があります。
車を所有している場合は自分で納付書を銀行やコンビニで支払うか、クレジットカードでの引き落としの手続きをする必要があります。他にも、車検の際に自動車重量税の納付や自賠責保険の支払いが必要になってきます。
また車に乗っていれば、オイル交換などのメンテナンスも安全のためには必須です。
これらを自分で整備工場を予約し、終了すれば代金を支払う手続きをする手間がかかりますし、工場選びから費用まで自分の責任で決めていく必要があります。
サブスクリプションの場合、これら全ての料金が月額料金に含まれているため、月額料金+燃料代以外はお金がかかりませんし、無駄な手間もかかりません。
月額料金以外だとガソリン代、駐車場代のみ支払えばOKで支払い処理やメンテナンスを考えることなく毎月定額料金だけ支払いことで完結する点はサブスクリプションの大きなメリットの一つです。
車を手配する手間がない
車を所有していない場合、車が使いたいと思った時にその都度車を手配しなければいけません。
レンタカーやカーシェアであれば借りる度に、利用する日にち、利用時間など入力して、当日車を借りに行くという手間があります。さらにカーシェアでは、他の人の予約が入っていれば、希望する時間に車を使えないというリスクもあります。
サブスクリプションでは契約期間内は車が手元にあるため、上記のような手間を回避することができますし、利用したいタイミングで利用することが出来ます。
また手続きも簡略化されており、ネットで簡単に申し込みを済ませることが可能となっています。
車種を自由に選択できる
こちらはレンタカーやカーシェアとの比較になりますが、車種が自由に選択できるのもメリットの一つです。
例えばトヨタのKINTO ONEの場合、31車種から選択することが可能です(2020/1時点)
レンタカーの場合、クラスは選べるものの車種の選択までは出来ないサービスもありますし、カーシェアも地域や保管場所によって選べる車種は限定されてしまいます。
車のサブスクのデメリット
サブスクリプションサービスを利用して車を所有することのメリットは今まで紹介したとおり多くありますが、逆にデメリットも存在します。
- 車を使わない時にも料金を支払わなければならない
- 契約の途中解約はできない
- 車の改造ができない
車を使わない時にも料金を支払わなければならない
サブスクリプションでは、レンタカーのように利用した分だけ料金を払うわけではありません。
多く乗った月も、ほとんど乗らなかった月も同じ料金を支払わなければなりません。そのため全然乗っていなくても料金が発生することになってしまいます。
そのため利用頻度が少なく、あらかじめ事前に分かっている予定が多いのであればサブスクリプションではなく、レンタカーやカーシェアのほうが費用的に適しています。
契約の途中解約はできない
車のサブスクリプションでは、原則として契約期間が満了する前に契約を解除することはできません。
他のサービス形態の場合は1ヶ月だけ使って、2か月目は解約するなどができますが、サブスクリプションでは一定期間の契約が定められています。
一部の会社では契約後2年経過すると解約できるところもありますが、基本的には不可です。
途中解約をする際には、違約金が発生します。これは事故に遭い車が破損してしまって、もう乗れなくなってしまった時も同様です。
改造ができない
サブスクリプションで借りている車は返却する際借りたときの状態のままで返すことが前提です。
そのため違法な改造はもちろん、車に穴をあけるような車の価値が下がるようなことはできません。この点は購入と比べた際に発生するデメリットになります。
車の定額制 サブスクサービスの選び方
車をサブスクリプションで所有しようとする場合、選び方も大事になってきます。どの車に乗ろうか、サイトをいろいろ見て検討すると思います。その際、気になるのはやはり月々の支払額ではないでしょうか。
選ぶポイントとして月額料金だけではなく、月々の支払いの他にボーナス払いの有無など、自分の理想とする支払い回数、料金をしっかりと決めておくことが大事です。
もちろん自分が乗りたい車が対象になっているかも重要なポイントでしょう。
他にもメンテナンス代が含まれているか確認も必要です。サービスによってはオイル交換は含まれているが、オイルエレメント交換は費用に含まれていないなど、会社によって提供するサービスに細かい違いがあります。
こういったサービス内容の確認や契約途中の解約についての条件の確認も必須です。
またカーナビがついているか、ETCが取り付けてあるかなど車のオプションも選ぶ際の重要なポイントになります。
車の定額サブスクサービス4選紹介
ここまでの情報を元に各社が提供するサブスクリプションサービスを紹介していきます。トヨタを始めとしていずれも車メーカーが提供しているサービスが中心です。
トヨタが提供する「KINTO(キント)」
トヨタのサブスクリプションサービス「KINTO」。プランは「KINTO ONE」と「KINTO FLEX」の2つあります。いずれも新車の乗ることが出来ます。
どちらも諸経費込みの月々定額で、「KINTO ONE」は新車に3年間乗ることができ、「KINTO FLEX」は3年間に3台または6台のレクサスに乗ることができます。「KINTO ONE」もトヨタ車だけでなくレクサスに乗ることも可能です。
3年経過すると新しい車に乗り換え可能で、常に最新の車に乗り続けられる点はサブスクリプションサービスであるKINTOの魅力の一つです。
申し込みはネットで完結させることも可能で、月額の支払い金額内に保険料からメンテナンス費用・自動車税など所有に関わる費用が全て含まれています。
また契約途中でのプランの変更も可能で違約金は発生しません。
契約期間中の途中解約には違約金が発生しますが、契約者が亡くなった場合や免許返納・海外への転勤などで車の運転ができなくなった場合などの外的な要因による解約には、必要書類を提出することで違約金の支払いが無くなる点は安心できるポイントです。
トヨタ車にこだわりのある方や、この機会にレクサスに乗ってみたいという方にはおススメのサービスとなっています。
公式サイトで各プランの違いも詳細に説明されています。興味がある方は確認してみてください。
ボルボが提供する「SMAVO(スマボ)」
輸入車メーカーボルボのサブスクリプションサービス「SMAVO」です。
プランは3つあり、3年契約の「スマボ2/3」、5年契約の「スマボ3/5」、高年式かつ走行距離の少ない車に乗れる「SELEKT SMAVO」があります。
「スマボ2/3」では2年後から、「スマボ3/5」では3年後から車の乗り換えができます。しかし乗換精算金の支払いが必要になります。「SELEKT SMAVO」では、最長1年ごとに乗り換えが可能ですが、こちらは乗換精算金の支払いはありません。
SMAVOの嬉しいポイントは、契約を満了して車を返却する際、残価が保証されているので追加の支払いがないところです。
SMAVOは発売以来、 若年層を中心に人気のあるサービスとなっており、新車販売の10%弱がサブスクリプションのSMAVOによるものだというデータもあります。
ホンダが提供する「マンスリーオーナー」
続いてはホンダが提供する「マンスリーオーナー」のサービスです。
何といってもこちらのサービスは最短1か月からの利用が可能で、サブスクリプションのメリットである各種費用コミコミのサービスと、解約周りのデメリット部分を打ち消したサービスとなっています。
出産や子供の成長に合わせて車の乗り換えが気軽にできることから、人気のサービスとなっています。
ホンダのN-BOXなど軽自動車も対象になっている点も嬉しいポイントです。中古車が中心で価格も低めに抑えられていることがサービスの特徴です。
契約期間も含めて気軽に試しやすいサービスとして人気を集めており、北海道から九州まで様々な店舗で利用が可能です。
ガリバーが提供する「NOREL(ノレル)」
中古車会社の大手ガリバーのサブスクリプションサービス「NOREL」です。全国に550店舗があるので、日本中どこでも利用することができます。
NORELではガリバーの豊富な在庫からさまざまな車種を選べます。新車、中古車はもちろん、BMWやMINIも選択可能です。
プランは3つ、輸入車に乗れる「BMW/MINIプラン」、最短90日間での乗り換えが可能な「通常プラン」、月々の支払いが安くできる「2年割プラン」があります。
ただし他サービスと異なる点として、どのプランも料金にメンテナンス代が含まれていないため注意が必要です。
車のサブスクサービスまとめ
サブスクリプションサービスを利用して車を持つことで、毎月一定額の支払いのみで、まるでマイカーのように車を使うことができます。
納税の手間やメンテナンスにかかる費用も含まれていることが多いので、急な出費に慌てる必要もなく出費が固定のため安定した出費に繋がります。
トヨタのKINTOを先駆けとして様々なメーカーでサブスクリプションサービスが導入されています。
車の購入を考えている方、憧れの車があるけれど資金面で悩まれている方、ぜひ検討してみてください。
他にも様々なジャンルのサブスクリプションサービスが存在します。興味がある方は以下の記事も参考にしてみてください。