サブスクという言葉をよく耳にします。ラーメン店のサブスク、高級レストランでのサブスク、洋服のサブスク・・などがテレビなどで紹介されており、2020年頃から急激に日本でも広まっています。
そんなサブスクですが、日本酒にもサブスクがあります。サブスクとはそもそもどんなものか、従来のサービスとは何が違うのかを比較しながら紹介していきます。
日本酒のサブスクってどういうサービス?
サブスクとは商品そのものを購入するのではなく、製品やサービスを一定期間利用する権利を買うという、新しいビジネスモデルです。他にも定期的に洋服やお菓子などのアイテムが届いたりするサービスもあります。
利用者にとってはサービスが利用し放題になったり、通常に購入するよりも安価に手に入れることができたり、通常とは違った体験が出来たりと、支払った料金以上に得られるメリットが沢山あります。
今回紹介する日本酒も以前から、「頒布会」という定額制の定期購入が存在しています。
酒蔵が自分の蔵の酒のみで行っている頒布会、酒屋が取り扱っている酒蔵の酒を対象に行っている頒布会、また、日本名門酒会という団体が会員の蔵元の酒を対象に行っている頒布会などがあります。
3か月から半年と期間はさまざまですが、飲みたい人が開示されている酒のリストを見て購入を決めるというシステムで、人気のある頒布会は抽選になるほどです。
日本酒のサブスクですが、月々定額料金を支払うことで日本酒が届くというサービスについては定額制の頒布会と変わりません。
現在いくつかの日本酒サブスクがサービスを展開していますが、ただ日本酒が届くだけではなく、サービス内容はそれぞれ差別化を図ったものになっています。
日本酒のサブスクがおすすめな理由
日本酒を購入する手段には、酒屋などの実店舗に出向いて購入する方法と、ネット通販などで購入する方法があります。
実店舗には商品を直に手に取ることができたり、店員の話を聞くことができるというメリットがあり、ネット購入には店舗に行く時間と手間が省けたり、重い酒瓶を運ばなくてよいというメリットがあります。
ではサブスクのメリットはというと、専門家が自分の代わりに日本酒を選んでくれるという魅力にあります。
現在日本酒の酒蔵は全国に1400以上あり、銘柄に至っては20000種類以上あります。仮に毎日違う銘柄を1つずつ飲んだとしても、ざっと50年以上かかる計算になります。
自分の好みに合った日本酒を知りたい、酒の肴とのマリアージュを楽しみたいなど、日本酒のことをもっと知りたいと思う人にとっては、専門家の意見やチョイスはとても参考になります。
何より、片っ端から飲んで比較していくという労力を費やす必要がないというのは、特に初心者にはありがたいサービスです。
日本酒の定額制サブスクリプションサービスの選び方
日本酒のサブスクはいくつかありますが、一定期間の購入が条件になりますので選択には注意が必要です。ここでは選択する際のポイントについて説明します。
- サブスクの価格は適正か
- どんな日本酒を取り扱っているか
- 他の付随するサービスはあるか
- サブスクの解約に縛りはないか
サブスクの価格は適正か
日本酒を購入すると考えた場合、店舗までの交通費、通販で購入する場合には送料が、日本酒の代金に加算されます。
また日本酒を1本購入する場合に、いくらまでなら許容できるかという点があります。3000円なら迷わず買えるが、5000円なら見送る・・などという判断です。
ひと月あたりいくらであれば、自分にとっては満足が得られるのかは予め持っておくようにしましょう。
どんな日本酒を取り扱っているか
これから紹介する各サービスでは、これまでどんな日本酒を提供してきたか等の情報が、実際にサービスを利用している人の口コミと一緒に掲載されている場合があるので、「どんな日本酒を扱っているか」のおおよその傾向が分かります。
判断基準は人それぞれですが、他にはない日本酒をどれだけ扱っているか、種類が限られていないか、自分の好きな日本酒に近いものを扱っているかなどチェックしましょう。
もし「どんな日本酒を飲んだらいいかわからない」のであれば、利き酒師のいるサービスを選んでみるのもおすすめです。
他の付随するサービスはあるか
送られてきた日本酒がこれまで飲んだことのない日本酒の場合、その酒に関する詳細な説明があると特に初心者は助かります。
日本酒の情報をチャートや分類で知ることができ、次に飲む日本酒との比較ができるのは嬉しいポイントです。
また、どんな肴と一緒に飲むと旨いのかといった情報は、組み合わせが数限りなくありますのでなかなか得るのが難しい情報です。
今回の日本酒に合う肴のレシピや、具体的な商品があったり、酒器がプレゼントで付いてきたりといった付随するサービスも利用サービスを選ぶ上では重要なポイントの一つです。
他にも、実店舗でもサービスの恩恵が受けられるかといった情報は押さえておくべきです。
サブスクの解約に縛りはないか
一定期間のサービスではあっても、途中で自分に合わなくなった・・まだ残っているのでスキップしたい・・など柔軟に契約できるかもサブスクリプションサービスを選択する上では重要です。
途中での解約ができないといった決まりがあると、合わない場合の費用が高くなってしまいます。
月額料金や提供サービス面、日本酒の種類だけではなく、加入時の注意事項も確認必須です。
日本酒のサブスクリプションサービスおすすめ4選
次からは現在、国内でサービスが提供されている中で、お勧めの日本酒のサブスクを紹介します。
ここまで紹介したサブスクリプションサービスの説明や選び方の情報を元に、自分に合う日本酒のサブスクサービスを探してみてください。
saketaku.(サケタク)
「日本酒を再定義する」をキャッチコピーにしている、日本酒応援団株式会社が立ち上げたサービスのsaketaku(サケタク)です。
田植えや収穫、製造サポートまで行っている会社で、パートナーになった酒蔵と新しい日本酒を造って販売も手掛けており、他では手に入らないオリジナルの日本酒を扱っているのが特徴です。
プランは月々プランと年間プランがあり、以下の通り年間プランで契約することで、5%価格をおさえることが可能です。
・月々プラン 1本:6578円/月、2本:7678円/月
本数はいずれのプランも1本か2本を選択でき、さらに毎月の配送か、2か月に一回の配送かを選択できます。
送料はいずれも無料で、配送頻度による値段の違いはなく、あくまで本数とプランの差で料金が変わります。
年間プランで2本のパターンがトータル金額は一番高いですが、一杯あたりに換算した場合、392円と一番安くなります。
届く日本酒は720mlのいわゆる四合瓶ですので、飲み切れないという心配はない上に、以下同封されてきますので、届いてすぐに晩酌を始めることも可能です。
- テイスティングリスト
- 日本酒情報誌「Magazine D」
- プロが監修した「日本酒鑑定書」
- ソムリエ厳選の「本格一品おつまみ」
さらに、本数や回数によって高級おつまみや幻の日本酒、酒器なども届くようになりますので、毎回届くのが楽しみになるサービスです。
KURAND CLUB.
KURANDは、新宿、秋葉原、池袋にKURAND SAKE MARKETという実店舗を持っており、料理は持ち込みやデリバリーが可能で、さらに約100種類の日本酒がセルフスタイルで飲み放題のシステムがあります。
オフィシャルサイトにはオンラインストアもありますが、このKURANDが始めたのが「KURAND CLUB.」で、こちらは完全会員制の日本酒定期購入サービスです。
月額プランは3278円/月(税別・送料無料)となっており、お得に加入できる半年・年間プランも用意されています。
他にも以下例のように、同サイト購入時の割引やイベント参加券など付与されている点も特徴の一つです。
- KURAND SAKE MARKETの利用が10%OFF
- KURANDオンラインストアの商品が10%OFF
- 会員限定イベントの参加権
- 会員限定商品の購入権
日本酒は酒蔵がそのコンセプトを決め、酒を造ることがほとんどです。しかしKURAND CLUBの日本酒は、KURAND CLUBが酒蔵を選定し、商品を企画し、仕込みから行うという限定醸造を行っています。
そのため本数も少なく、会員限定でしか出会うことのできない日本酒を提供しています。
わたご酒店
わたご酒店は、新潟県新潟市にある、1977年創業の家族経営の酒屋です。
新潟の地酒はもちろんですが、県外の日本酒も扱っており、オフィシャルサイトにはオンラインストアもあります。
また、オンラインストアとは別に、株式会社現代経営技術研究所が運営している「subsc」が提供する「サブスクリプションボックス」にサブスクを展開しています。
このサービスは、日本酒だけでなく食品、スイーツ、コーヒーや雑貨まで扱っており、まるで普通の通販サイトのようにサブスクが並んでいるのが特長です。
以下3つの定額プランがあり、いずれも解説シート付の720mlの日本酒が毎月2本届く定期便です。
- 日本酒に詳しくなれる「日本酒入門コース」 4980円/月(税・送料込)
- 利き酒師が選ぶ「今が飲み頃の地酒」 4780円/月(税・送料込)
- 日本酒王国 新潟の希少な地酒 4780円/月(税・送料込)
担当者が利き酒師の資格を持っていますので、安心できるのもポイントですし、2本を一口として複数口の購入も可能、停止や1回休みもいつでも可能であり、デメリットが少なく自由度の高い設定になっています。
日本酒にしよう
「日本酒にしよう」は、日本酒にしようプロジェクトが運営しているサブスクです。最大の特徴は、「しぼりたての日本酒が酒蔵から自宅へ直送」されることです。
日本酒の多くの酒蔵は、冬場に酒を造る「寒造り」を行っています。
一般的に日本酒は火入れをすることで長く貯蔵できるようになるのですが、火入れをしていない、且つ加水もしていないしぼりたての生原酒は、酒が出来上がった冬の時期しか味わうことができないのが普通です。
しかし現代では、酒蔵の温度管理も設備次第で自由にできるため、冬に限らず一年中日本酒を造ることができるようになっています。そのおかげで、年中「しぼりたて」が飲めるのです。
火入れをするという行為は、日本酒を劣化させてしまう乳酸菌を殺菌する役目と、日本酒の中に残っている酵素の働きを止める役目があります。乳酸菌を殺菌しないと酒は味が落ちてしまいますし、酵素の働きを止めないと酒の性質が変化していってしまうからです。
しかし「しぼりたて」の日本酒には、フレッシュではじけるような舌触りと独特の香りがあるため、多くのファンが存在しています。
・1本コース 4015円/月(税込・送料無料)
・2本コース 6655円/月(税込・送料無料)
上記2つのコースがあり、2本の方が1本あたり625円もお得に設定されています。
酒蔵紹介や日本酒に合うオリジナルレシピが掲載された小冊子が付いてくる上に、スキップも自由にできますし、夏場にはクール便が送料無料で直接届くのは魅力的です。
日本酒のサブスクを更に楽しむために
日本酒と杯さえあれば飲むこと自体はできますが、料理が器で見栄えが変わるように、日本酒も器によって姿を変えます。
器を変える、温度帯を変える、肴を変えるといった楽しみ方に始まり、あると便利なアイテムなどについて紹介します。
杯、猪口、升、徳利、グラス
形や素材が変わるだけで、不思議と口当たりが違ってくるのが酒器の楽しみです。
微発泡の日本酒であれば口の細いシャンパングラスで、熱燗であれば徳利とお猪口で、冷酒であれば薄いグラスで、正月なら升で、と、飲み方や日本酒の種類によって器を変えてみるのも楽しみ方の一つです。
酒燗器
酒燗器は居酒屋にいかないと拝めないもので、家で熱燗が飲みたい時は、ストーブの上に乗せた薬缶に徳利を入れるか、電子レンジで温めるのが主流でした。
今では家庭でも熱燗が楽しめる、小型の酒燗器も販売されています。
日本酒計
熱燗の容器に入れておくと、0~60度までの温度が測れる、燗酒用の温度計です。
目盛りには温度が表示されている他、「雪冷え」「花冷え」「涼冷え」「人肌燗」「ぬる燗」「上燗」「熱燗」「飛びきり燗」といった温度帯が表示されているため、好みの温度での熱燗が楽しめます。
同じ日本酒でも温度帯で味が変わりますし、特に古酒の熱燗には必須のアイテムです。
ポワラー、ドロップストップ
日本酒を器に注ぐとき、滴をこぼさずに注ぐのは実は結構難しいことです。
元々ワイン用に作られたポワラーは、瓶の口にはめるだけでいいため、滴をこぼすことなく器に注ぐことができます。
また、丸めて瓶の口に入れるだけという、安価で簡単なドロップストップという商品も使い勝手のよい道具です。
肴
日本酒と肴の組み合わせは無尽蔵です。
日本酒には刺身というのも定番のひとつではありますが、口当たりの軽い日本酒には白身魚のカルパッチョも合いますし、度数が高く濃厚な日本酒であれば肉料理でも合わせることができます。
その日の気分で、日本酒と肴のマリアージュを試してみるのも楽しみ方の一つです。
日本酒サーバー
ボタンを押すだけで1cc単位で日本酒を注ぐことができる、まるで居酒屋やバーにいるような気分になるサーバーです。
店舗や駅などに設置されているのをよく見かけますが、四合瓶用、一升瓶用の二種類があります。
日本酒は特に開栓後の劣化が気になりますが、サーバーの場合、注がれた直後に食品用窒素ガスが充填されるため、空気による劣化が起きません。
飲み残してしまった場合でも、最後まで味が変わらない点は大事なポイントです。
ラベルコレクター
元々はワインコレクターのためにあるアイテムですが、瓶に貼られたラベルを保存しておくために作られました。
仕組みは簡単で、強力な粘着力のある透明なシールをラベルの上に貼り付け、シールに貼り付けてラベルを剥がすというものです。
シールがカバーの役目をするため、長期保存に向いています。日本酒のラベルは和紙からシールまで様々で、そのまま瓶から剥がすのは容易ではありません。
大抵が糊で貼りついているため、お湯につけておいて剥がすという方法もありますが、色が滲んだり紙が溶けたりする場合もありますので、ラベルを保存しておきたい方にはお勧めです。
Tシャツ、エプロン
酒蔵によっては、販売用やプレゼント用に独自にアイテムを製作しているところがあります。
ピンバッジやステッカーが多いですが、中には銘柄やラベルをプリントしたTシャツや、酒屋向けのエプロンを販売しているところもあります。
好きな銘柄のTシャツを着て日本酒を飲むのも、楽しみ方の一つです。
専用冷蔵庫
一升瓶を家庭用の冷蔵庫に入れて保管するのは、色々な意味で実用的ではありません。
四合瓶でさえ、特に温度に敏感な日本酒の場合、その日に飲み切ってしまわない限りは保存方法を考える必要があります。
よくワインセラーの購入を検討される方がいますが、ワインセラーの温度帯は日本酒向きではありません。やはり最適なのは、ある程度の温度を調節することができる、日本酒専用の冷蔵庫です。
大きさによっては四合瓶と一升瓶を一緒に保存しておくことも可能ですし、家庭用でも四合瓶なら20本程度入れておくことができる、比較的コンパクトな冷蔵庫もあります。
日本酒の定額制サブスクまとめ
日本酒の初心者にとっては、専門家に日本酒を選んでもらえ、手軽に自宅に届くサービスであり、ある程度の上級者にとっては、これまで飲んだことのない日本酒に出会える、新しい方向性を切り開いてくれるサービス、それが日本酒のサブスクです。
いくつかあるサブスクを比較検討し、少しでも魅力的に思えるのであれば、まずは最小単位から始めてみてはいかがでしょうか?
他にもある様々なお酒関連の定額制サブスクリプションサービス
お酒の定期配送系はカクヤスで購入するという方も多いと思いますが、今回紹介したサービスは通常のサイトや店舗購入では得ることのできないお酒を飲めたり、+αのサービスを受けることが可能になります。
以下に種類別にサービス紹介記事を貼っておりますので、興味がある部分があればぜひ参考にしてみてください。